前回の退所から1年後、わたしは再び児童相談所に戻ってきました。
1年前に入所していた子は全員退所していたので知っている人たちはいませんでしたが今回の入所はわたしの人生の転機だと感じていたので、わたしはこの先の生活が楽しみで仕方ありませんでした。
兄妹で入所している子が多かったので男子6人、女子7人と前回よりたくさんの人がいました。
そして肝心の女子部屋ですが、前回の事件があったからなのか広々としていた部屋の真ん中に壁を作り、部屋は2つに分かれて片方の部屋は小中高生の姉妹3人部屋となっていて、もう片方の部屋は中学生2人とわたし含む小学生2人の4人で共有することになりました。
(前回の事件はこちらの記事をご参照ください)
二度目の入所はいじめもなく男女の仲もとても良かったので本当に毎日が楽しくて仕方がありませんでした。
毎晩寝る前にみんなでおしゃべりをしたり朝昼晩一緒においしいご飯を食べたり1週間に1回遊びに行ける体育館や公園で思いっきり遊んだり、時には仲良くなれた子が退所してしまって泣いてしまうこともありましたがわたしはここの生活がとても大好きになっていて、気がつけば1年半も時がたちわたしは小学校6年生になっていました。
そしてそんな幸せはずっと続くわけもなく、ある出来事が起こり、わたしの人生の転機となるきっかけになったのです。
親友の児童養護施設への入所
わたしには入所した当時からとても仲の良い友達がいました。
友達といっても相手は高校生だったのでわたしのことはきっと妹のように感じていたと思いますが、わたしにとってはかけがえのない存在になっていました。
3人姉妹の長女で女子の中で1番年長だった彼女はとてもしっかり者で時には誰かを叱ったり、モメている子達の仲裁に入ったり、みんなをまとめたりと先生達にも信頼されているような人望のある人でした。
わたしもそんな彼女のことをだいぶ慕っていて心から尊敬していたのです。
ある日彼女が1人で職員室によばれました。共同スペースから中が見えないようにブラインドカーテンで閉められ、それからかれこれ1時間ほど出てこなかったのでなにかあったのか心配になっていると、彼女と先生方が出てきて男女全員共同スペースに呼ばれました。そして先生の口から告げられたのは姉妹の児童養護施設への入所でした。
養護施設という言葉を初めて聞いたわたしはなんのことなのかさっぱりわからなかったのですが、ただ唯一理解出来たことは「お別れしなきゃいけない」という現実でした。
先生の話が終わりわたしはすぐに彼女と一緒に職員室に詳しく話を聞きにいきました。
いつ入所するのか、どこの施設に入所するのか、養護施設とはどういうところなのか、そしてわたしも同じところにいけるのか。
養護施設はその当時から定員の空きまちがひどく希望した施設に受け入れてもらえるかわからない状態でした。
ですがどうしても彼女一緒にいたかったわたしはここである決断をしたのです。
「わたしも養護施設に入ろう。」
1ヶ月に1回担当の心理士の先生と面談があったのですがその時に話されることは性懲りずに義母がわたしとの関係の修復を望んでいるという話ばかりでした。
わたしは「もう関係の修復は不可能だから家に戻るつもりはない」とはっきりと伝え、1年半の面談を経て先生に児童養護施設に行きたいという話をしました。
恐らくこういう結果になることを察していた先生はすぐに受け入れ先の施設への段取りを組んでくれたのです。
「彼女と同じ施設に入れるかわからないよ」と言われましたが、ここにずっと居ても現状は何も変わらないことを知っていたので承諾の上で施設への入所を希望しました。
1ヶ月の時が経ち3人姉妹は児童相談所を退所しました。
再会を約束して、数週間後にわたしの養護施設への入所が決まったのです。